【Y.Mさん】ポートランド教師インターン生 2025年7月活動レポート
インターン⽣の紹介
名前:Y.Mさん
性別:女性
渡航時の年齢:21歳(大学4年次休学で渡米)
担当学年:中学校(8年生)
派遣時期:2025年4月
派遣エリア:ポートランド
Q&A形式 活動レポート
担当するクラス、学年について紹介してください。
私は8年生の日本語のクラスを担当しています。この学年の生徒たちは、日本への修学旅行を控えているため、授業では旅行に役立つ実践的な日本語や文化について学んでいます。具体的には、地下鉄やバスなどの公共交通機関の乗り方、金銭の計算方法、レストランでの注文や会話の練習など、実際の場面を想定した内容を取り入れられています。
担当の先生について紹介してください。
私の担当の先生は、F先生です。昨年度から現在の中学校に赴任されたばかりですが、それ以前はリッチモンド小学校で教員をされており、教育に関する知識や実践経験がとても豊富な方です。毎日明るく元気に生徒たちに声をかけ、一人ひとりに対して丁寧かつ真剣に、そして平等に接しておられる姿がとても印象的です。そのような先生の姿勢に対し、生徒たちも深い信頼を寄せており、日々の学校生活の中でも慕われている様子がよく見られます。
また、先生は授業やクラス運営において、メリハリを非常に大切にされています。生徒たちが真剣に取り組むべきときにはしっかりと指導を行い、一方で、楽しむべき場面では思いきり明るく、生徒と一緒になって盛り上げるなど、柔軟でバランスの取れた対応をされているのが特徴です。こうした姿勢が生徒との信頼関係の構築にもつながっており、クラス全体が落ち着いて学びに向かえる雰囲気づくりに役立っていると感じました。
授業づくりにおいても、先生は常に「生徒にとってどうか」という視点を持っておられます。どのようにすれば生徒が興味を持ち、楽しみながら日本語を学べるかを日々考えながら授業に取り組まれており、生徒の反応を見ながらその場で活動内容を変更したり、クラスごとの特性に応じて活動を調整されたりするなど、非常に柔軟な対応をされています。
さらに、授業では先生が話す時間よりも、生徒同士で会話をする時間や、個人またはグループでプロジェクトを進める時間が多く設けられている点が特徴的です。そのため、生徒たちは自分のペースで無理なく学習に取り組むことができ、クラスメイトとの対話の機会も多いため、自然と集中力が高まり、積極的に授業に参加している様子がうかがえました。先生の指導スタイルからは、生徒中心の学びの在り方について多くのことを学んでいます。
到着~これまでに、自身が行った印象的な活動や指導方法を教えてください。
修学旅行に行く直前に入り、卒業も間近ということもあり、授業では大きなプロジェクトとして「修学旅行の振り返り発表」が予定されていました。そのため、私が中心となって指導する機会はあまり多くはなく、主にサポートや文章の添削を担当しました。ワークシートの作成を任された際には、文字情報だけでなく、写真やイラストなど視覚的な要素も取り入れることで、生徒が楽しみながら取り組めるよう工夫しました。また、生徒の書いた文章を添削する際には、「ここが間違っている」と否定的に伝えるのではなく、まず良い点をしっかりと伝えた上で、「こうするとさらに良くなると思うよ」といった前向きなフィードバックを心がけました。日本語の表現だけでなく、内容面にも目を向け、生徒の考えに対してコメントを添えることで、積極的にコミュニケーションをとるよう努めました。
到着~これまでに、担当の先生がやっていた中で、印象に残っている授業やアクティビティについて教えてください。
今回のインターンシップでは、授業の多くが修学旅行後のプロジェクト活動に充てられていたため、一般的な日本語の授業を観察する機会は限られていました。主に生徒一人ひとりの発表練習や、原稿・スライドの作成を支援する活動が中心でしたが、修学旅行直前に行われた授業の中で、特に印象に残っているものがあります。
その授業では、日本のエスカレーターの文化を扱い、「右側(または左側)に立つ」という地域による違いや、マナーについて学ぶ内容でした。先生はそれを口頭で説明するだけでなく、実際に教室内でエスカレーターがある場面を想定し、生徒たちに並ばせるという実践的な活動を取り入れておられました。さらに、駅のホームでの並び方や電車の乗り方も同様に体を使って学習しており、生徒たちも楽しみながら積極的に取り組んでいました。
また、「落ちた落ちた何が落ちた」や「しりとり」など、日本の子どもたちがよく行うミニゲームを授業に取り入れ、小グループやクラスを二分して競わせるなど、工夫された授業展開も印象的でした。こうした活動を通じて、日本の文化や習慣を楽しみながら学ぶことができる環境が整えられており、生徒の興味を引き出す効果的な方法だと感じました。
さらに、F先生は授業の前に学校の敷地内を一周する「お散歩タイム」を設けておられました。これによって、生徒は心身を落ち着かせ、より集中して授業に臨むことができていたように見受けられました。先生自身もその時間を通して生徒と自然な会話を交わすことで、関係性を深めておられ、とても有意義な取り組みだと感じました。
到着~これまでに、参加した学校内の行事やイベントを教えてください。
スプリングフェスティバル(リッチモンド)、ムービーナイト(リッチモンド)、修学旅行お土産話(研究プロジェクト発表会)、遠足、卒業式
到着~これまでの自身の業務内容、学校での役割について教えてください。
添削、ワークシートの作成、丸付け、ワークシートの評価付け・提出チェック、プリントの印刷、教室の掲示物の作成、ワークシート等整理整頓、生徒のサポート
英語の使用頻度はどのくらいですか?
普段の生活の中で英語を使う機会は限られており、全体的には使用頻度は低めです。ホームステイ先ではホストマザーが日本人のため、家庭内ではほとんど日本語で会話をしています。ホストファザーとは時々挨拶や短い会話を英語で交わす程度で、それほど頻繁には話していません。また、ホストキッズのうち上の二人とは日本語で会話しており、一番下の子(キンダーガーテン)は英語で話していますが、年齢的に会話の内容は限られており、英語でのやり取りはごく簡単なものにとどまっています。学校では基本的に日本語のみを使用しており、英語を話す機会はありません。ただし、2週間に1回程度、英語のクラスがあり、その際に2時間ほど英語でのやり取りを行っています。
1日のスケジュールについて教えてください。 (平日)
6:00 起床
6:00~7:30 準備、朝ご飯、お弁当準備
7:30 出勤(バス)8:00学校到着
8:15~16:15 業務
17:00 帰宅
18:00 晩ご飯
19:00~ 自由、お風呂等
23:00~ 就寝
1日のスケジュールについて教えてください。 (週末)
7:00 起床、準備等
8:00 朝ご飯
9:00~12:00 自由
12:00~13:00 昼食
13:00~18:00 自由
18:00~19:00 晩ご飯
19:00~ 自由、お風呂等
23:00 就寝
到着~これまでに、ホストファミリーとは、どう過ごしていますか?
到着してからこれまで、ホストファミリーは本当に親切にしてくださっています。私が安心して生活できるように、家のルールや近所の方に紹介してくださっただけでなく、ポートランドのおすすめの観光地やアメリカの文化についてもたくさん紹介してくれました。週末にはキャンプに連れて行ってくださったり、ホストファミリーの子どもたちの習い事やイベントに一緒に参加させてもらったりして、アメリカならではの生活を体験することができています。
日々の生活の中では、子どもたちとできるだけ多く遊ぶようにしていて、積極的にコミュニケーションを取るよう心がけています。最初は少し緊張しましたが、少しずつ打ち解けて、笑顔で会話できる時間が増えてきたことを嬉しく感じています。ホストファミリーの皆さんとの交流を通じて、言語だけでなく文化の違いや価値観についても学ぶことができ、とても充実した毎日を送っています。
教師アシスタントにおける今後に向けてのご自身の改善点や課題を教えてください。
9月から新学期が始まるにあたり、教師アシスタントとしての今後の課題は、生徒たちと積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことだと感じています。これまでの学期では、特に8年生の生徒と関わることが多く、たくさん話すことができた生徒もいれば、あまり話せなかった生徒もいたため、次の学期ではできるだけ多くの生徒とバランスよく関われるよう意識していきたいと思います。 また、授業中にサポートが必要そうな生徒がいて「大丈夫?」と声をかけても、「大丈夫です」と返されてしまい、十分にサポートができなかった場面が何度かありました。生徒が本当は困っていてもそれをうまく表現できないこともあるため、「ちょっと見せてもらってもいいかな?」や「一緒に考えてみようか」といった、より自然で柔らかい声かけを工夫していく必要があると感じています。 さらに、生徒たちは時折英語で話しかけてくることがあり、スピードが速かったり発音が聞き取りづらかったりして、うまく理解できないことがあります。また、「これは日本語で何と言いますか?」と尋ねられたときに、適切な訳し方がすぐに思い浮かばず戸惑う場面もありました。こうしたやり取りにスムーズに対応できるようになるためにも、自分自身の英語力の向上は引き続き大きな課題です。特にリスニング力と語彙力を強化し、より円滑なコミュニケーションができるように努めていきたいと考えています。
現時点までの経験を通して、ご自身が成長したと思う点を教えてください。
私が成長したと感じる点は、生徒たちとの関わり方です。これまで日本でのボランティア活動などを通して子どもたちと接してきた際は、「嫌われないように」「仲良くなれるように」といった気持ちが強く、どちらかというと友達のような関係を目指して接することが多かったように思います。しかし、今回の中学校でのインターンの経験を通して、教師の視点から生徒と関わることの大切さを学ぶことができました。単に仲良くなることがゴールではなく、必要な場面ではしっかりと注意をしたり、生徒にとって安心できる距離感を保ちながら関わったりすることが、教育の現場では求められているということに気づきました。最近では、自分自身が「教師アシスタント」であるという立場を意識しながら、生徒と信頼関係を築くことができるようになってきたと感じています。
また、英語力の面でも成長を感じています。生徒たちから英語で話しかけられることや、ホストファミリーとの会話など、英語に触れる機会が日常的に増えたことで、特にリスニング力が大きく向上しました。最初の頃は速くて聞き取れなかった英語も、今ではほとんどの内容を理解できるようになったと感じます。これからもこの経験を活かして、さらにスキルを高めていきたいと思います。
これからチャレンジしたいこと、やってみたいことを教えてください。 (教師アシスタント)
これから教師アシスタントとしてチャレンジしてみたいことは、自分自身で授業やアクティビティを主導することです。これまでの活動の中で、クラスを半分に分けて担当の先生と私がそれぞれグループを受け持ち、意見共有のアクティビティを行う機会がありました。しかしその際、私のグループだけうまく発表がまとまらず、活動全体の流れがうまくいかないという経験をしました。
この経験から、指示の出し方や生徒の興味を引きつける話し方・表現方法、またアクティビティの展開の工夫など、まだまだ自分に足りない点が多くあると実感しました。同じ内容でも、どのように伝えるかによって生徒の反応や意欲は大きく変わるため、そうした点を意識しながら今後の活動に取り組んでいきたいと考えています。
今後は、アクティビティの補助だけでなく、自分で一から準備をし、指導案を考えたうえで小さな活動や授業を担当してみることにも挑戦したいです。その中で、生徒の反応を観察しながら柔軟に対応する力や、わかりやすく伝える力を身につけていきたいと思います。そして最終的には、生徒にとって「楽しかった」「わかりやすかった」と思ってもらえるような授業ができるようになることを目指しています。
これからチャレンジしたいこと、やってみたいことを教えてください。 (プライベート)
プライベートでは、さまざまな場所へ旅行に出かけたり、普段の生活の中でもできるだけアクティブに過ごしたいと考えています。これまでは、学校の業務にまだ慣れていないこともあり、週末などは家でゆっくり休むことが多かったのですが、ポートランドには魅力的なスポットがたくさんあり、自然を満喫できる環境が整っていると感じています。市内にはおしゃれなカフェが数多くあり、山や滝、橋など、ハイキングや自然散策を楽しめる場所も豊富です。そのため、今後は週末や長期休暇をもっと有効に活用して、ポートランドならではの自然や文化を積極的に体験していきたいと思っています。
また、英語力の向上という点でも、引き続き取り組んでいきたい課題です。最近では、地元の図書館が主催する無料の英会話イベントに参加するようになり、実際の英語での会話を通してリスニングやスピーキングの力を少しずつ伸ばしています。ポートランドにはこのような無料の英語学習機会(ESLクラス)も多く用意されているため、そうしたプログラムにも積極的に参加し、英語力をさらに高めていきたいと考えています。加えて、こうしたイベントや学習の場は、語学力の向上だけでなく、地域の人々とのつながりを広げる良い機会にもなると感じています。さまざまなバックグラウンドを持つ人々と出会い、異文化交流を楽しみながら、自分のコミュニティを少しずつ広げていけたらと思います。
写真の共有
①卒業式
8年生の卒業式の前に撮った写真です。担当のF先生が袴を着ていらっしゃってとても印象的でした。初めて海外の卒業式を見てすごく華やかで驚きました。式で先生方から推薦された生徒が表彰されていて日本にはない文化で面白かったです。また卒業するまでの約2か月間しか関わっていませんが、生徒たちがみんな優しく接してくれて「また会いましょう!」っと言ってくれて、教師のやりがいや良さに改めて気づけた日となりました。

②ホストファミリーとの写真
ホストシスター(長女10歳)がバレエをしていて、講演を初めて見に行かせていただきました。バレエを見るのが初めてだったのでとても感動しました。

③Westwind
これはWestwindというキャンプのイベントで撮った写真です。先着順でカヤックを体験することができたので、他のインターン数名と保護者とカヤック体験をしました。風が強くて天気も雨模様で大変でしたがとても楽しかったです。

活動レポートをご提出いただきありがとうございました!
アメリカ・ポートランド教師アシスタントインターンにご興味がおありでしたら以下プログラムページをご確認ください。




